すまいるポスト

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コラム

これからの時代を賢く生きるためには…①

1.新しい時代を迎えても考えておきたい

こんにちは。社会保険労務士・FPの高濱光暢です。

いよいよ“平成”という時代が終わり新たな時代が始まりました。マスコミ報道などでもこの平成の30年を振り返る特集が組まれたりしていました。皆さまは、平成という時代をどう振り返りますでしょうか?

私は、仕事がら経済関連の記事やニュースに接する機会が多いのですが、だいたい「バブル崩壊とともに平成が始まりこの30年というのは経済的には低迷していた」「日本の製造業の落ち込みが激しくこれまで日本の経済を支えてきた技術力の低下がみられる」「少子高齢化の進展により社会保障給付費の増大により国の財政が大きく悪化した」など経済方面ではあまり明るい記事は目にしなかったように思います。たぶん他の面では、日本はもっと良い点がたくさんあると思うのですが…

さて、この連載では、とくに社会保障関係について、最近の時事を踏まえつつニュース等で話題となっているネタを取り上げているのですけれど、令和最初の内容は「75歳以上世帯が4分の1」という記事からです。長生きが進んでいるということは、とても良いことですが、一方でこれらの高齢者を支えるための財源は?という話も当然に出てきます。

国立社会保障・人口問題研究所が公表した世帯数の将来推計によると、2040年には世帯主が75歳以上となる世帯が1217万と全体の4分の1を占めるとのこと。また一人暮らしは全体で1994万人と全世帯の約4割となり、75歳以上の一人暮らしも500万人を超えるとのことです。今後、高齢の「おひとり様」の存在感が高まることが予想され、社会保障をはじめとした生活インフラも大きく変わっていくことが予想されます。

75歳以上といえば、「後期高齢者」という位置づけとなり医療保険(健康保険)についても負担が大きく減じる境目の年齢でもあります(※1)。社会保障の財政の観点からは、この年代が急速に増えることは大きな負担増加につながるため(特に医療保険)、国としては何とかしたいと考えていると思われます。

※1 後期高齢者医療制度とは、75歳(寝たきり等の場合は65歳)以上の方が加入する医療制度で、病院での窓口負担は、一般の方で1割(現役並み所得者は3割)負担となり、保険料も現役世代と比べれば、抑えられる制度です。

高濱さん20190530 図1 社会保障給付費


2.国民医療費は、1人当たり年間33万3300円です。

私(高濱)は、現在40代の男性ですが、1年間にどれほど病院に行くか?

だいたいではありますが、歯医者に2,3か月に1回(1回3~4千円くらい)、冬場になると風邪などで2,3回(1回2~3千円くらい)、よって年に10回も病院に行かないでしょうか、しかも毎回費用もそんなにかからないと思います。
ただ子どもがまだ小さいため、子どもの関係では年に10回以上は病院にお世話になるかと思います。

病院の窓口で支払う費用は、3割負担でありますから、実際には病院での支払額に+7割分の医療費がかかっていることになります。上記の例を単純化して1回3,000円で年に歯医者6回、通常の病院3回行くとして、3,000円×9回=27,000円。これに7割負担を加味して27,000円÷0.3=90,000円くらいになりますでしょうか。皆さまは、1年間でどれほど病院にかかりどれくらいの医療費がかかっていますでしょうか?

「国民の病気やケガの治療のため、医療機関に支払われた総額。健康保険からの給付のほか、患者の窓口負担、生活保護など公費で賄う分を合算する。」というのが、国民医療費であり2015年度は、42兆3644億円にのぼるようです。これを日本の人口で割った金額が1人当たり年間33万3300円となるようです。

さて、ここで考えたいのは、上記私の例では、10万円弱くらいが年間の医療費ではないかと推計しましたが、33万円のもかかっているのか?と疑問が生じることです。もちろん様々な事情により若くても医療費のかかる方はおられると思いますが、一般的に年を重ねるほど病院にかかる比率が高まるのではないかと考えられます。つまり年間33万3300円というのはあくまで平均であり、高齢者が増えることにより医療費がかかると考えられるところ、1人当たり医療費は今後も高まっていくのではないかとの予想がされることです。

別の観点から考えてみます。国民医療費の財源をみると、公費(税金)が39%で、保険料(各保険制度)が49%、患者負担は12%となっています。2040年には75歳以上世帯の割合が4分の1に達するとのことで、自己負担の軽い75歳以上の後期高齢者が増えることになります。ということは、公費(税金)での負担が増し、保険料負担では現役世代にさらに重くのしかかってくることが予想されます。
また医療費の額自体も2040年度には68兆5000万円まで膨らむとの政府の推計もあり、負担の見直しや伸びの抑制が喫緊の課題となっています。


3.手をこまねいていたわけではありません

平成元年(1989年)より政府は、「ゴールドプラン」と称して、高齢化社会を見据えた戦略を推進してきているのを皆さんはご存知でしょうか?

平成元年にスタートした「ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10か年計画)」では、高齢社会を健康で生きがいを持って、また、安心して生涯を過ごせるよう、明るく活力ある長寿・福祉社会を目的に、高齢者の保健福祉の分野における公共サービスの基盤整備を進めることとして、例えばホームヘルパー10万人やデイサービスセンター1万か所といった数値目標をかかげ、どちらかというと設備などハード面の整備に力点を置いた計画でした。また「寝たきり老人ゼロ作戦」と称して、地域において機能訓練を受けやすくしたり寝たきりにつながるケガ等の防止のための健康教育を行うなど、今の健康寿命(※2)の考えにつながる施策もこの当時から実施されてきています。

1995年からは、ゴールドプランでは対応できなかった施策や時代の変化による新たな課題の登場などゴールドプランを見直した「新ゴールドプラン(5か年計画)」がスタートしました。

さらに2000年には、明るく活力ある高齢社会の実現するため、介護サービス基盤の整備や地域生活支援体制の整備などを通じ、高齢者の尊厳の確保と自立支援などむしろ高齢者が元気に活動できる社会の実現に向けて「ゴールドプラン21」を進めてきました。また21世紀をめざして国民の健康をいかに増進するかということで始まった「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」(※3)という施策も同じ時期に始まりました。

以上のような施策は、国民の健康増進を進めるための施策ではありますが、平均寿命が延びていく中でいかに健康寿命も延ばすか、という取り組みでもありました。つまり平均寿命が延びても病気が多かったり寝たきり期間が長いと当然に医療費も増加していきますから、できる限り健康を保って医療費を抑制したいとの狙いもあったと思われます。

それでも今後の医療費の伸びは、抑えられそうにないという感じですね。では他に何か対策はありますでしょうか?次回から考えていきましょう。

※2 健康寿命は、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間とされ、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した。平均寿命から健康寿命を引いた差は継続的に医療や介護を受けている期間になり、世界的に平均寿命と健康寿命の差を縮めることは大きな目標となっている。

日本の2001年健康寿命は男性が69.4歳、女性は72.7歳で、その後2016年までに平均寿命と歩調を合わせて伸び続けて男性は72.1歳、女性は74.8歳になった。ただ平均寿命と健康寿命との差は、2001年に男性が8.7年、女性が12.2年だったのに対して2016年は男性が8.9年、女性が12.3年とその差の短縮は進んでいない。

※3 健康日本21とは、主には生活習慣病の予防を目的に生活習慣の改善や重大病につながる疾患の早期発見などを通じて、すべての国民が健康な生活を送れるようまた健康寿命の延伸や健康格差の縮小を図ることなども目標にする取り組みである。

高濱さん20190530 図2 健康寿命と平均寿命
出典:平成29年簡易生命表の概況(厚生労働省)

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高濱 光暢

高濱 光暢

社会保険労務士・FP・相続アドバイザー いつも笑顔で! 高濱社会保険労務士・FP事務所 大阪市東淀川区菅原1-8-4 MAIL : sharousi-nobu@bird.ocn.ne.jp TEL .080-4492-6434 社会保険労務士業として公的年金関連の相談業務、またFP業として個人のライフプランや各種税金や制度に関するアドバイスを行います。特に相続税のことはご相談ください。
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