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コラム

考えておきたい!老後の生活… ⑤

〇 今年は負担が増します?!
こんにちは。社会保険労務士・FPの高濱光暢です。

早速ですが、皆さまもご存知の通り、今年2019年10月からは消費税が10%に引き上げられると予想されます。我々国民からしても負担が増えることになり、消費生活にも多大な影響が予想されるため関心が高い今年のイベントの一つになると思われます。
また本年、もう一つ公的年金の給付額を抑える「マクロ経済スライド」が発動されるとのことです。「マクロ経済スライド」とは、賃金や物価がともに上昇した場合に、年金の増額幅を抑制する仕組みです。少子高齢化で年金受給者は増加する一方、支える側の現役世代が減少することが予想されるために設けられた仕組みで、発動は2015年度以来4年ぶり2回目となります。具体的には、今年の年金額は、昨年より0.6%上昇するところ、この仕組みにより0.5ポイント抑えられ、0.1%の上昇となります。
少しわかりにくいですが、実際にもらえる年金の額面は増加しますが、物価の上昇率等を勘案すれば実質は目減りしているということです。つまり年金受給者にとっては負担感が増すことになります。
税制の面でも社会保障の面でも国民負担がさらに増えそうです。今年は平成最後の年となるというのに、一体どのような年になるのでしょうか?

※マクロ経済スライドとは?  『日本年金機構のHP』参照
将来の現役世代の負担が過重とならないよう賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整していこうという仕組みです。
具体的には、賃金や物価による改定率から、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって、年金の給付水準を調整します。
但しデフレ化では発動されず、2004年の導入以来、発動されるのは2回目となります。

〔賃金・物価の上昇率が大きい場合〕
マクロ経済スライドによる調整が行われ、年金額の上昇については、調整率の分だけ抑制されます。
高濱さん20190307 図1 賃金物価大

〔賃金・物価の上昇率が小さい場合〕
賃金・物価の上昇率が小さく、マクロ経済スライドによる調整を適用すると年金額がマイナスになってしまう場合は、年金額の改定は行われません。
高濱さん20190307 図2 賃金物価小

〔賃金・物価が下落した場合〕
賃金・物価が下落した場合、マクロ経済スライドによる調整は行われません。結果として、年金額は賃金・物価の下落分のみ引き下げられます。
高濱さん20190307 図3 賃金物価下落の場合

〇 結局、財政再建は進んでいるのか?国民の生活はよくなるのか?
思い返してみれば、今から5年前の2014年4月1日からは、消費税が5%から8%へと引き上げられましたが、その時は安倍晋三政権ですね。そして現在も政権は変わっておらず、増税と年金受給額の実質的な減額という国民負担を強いる政策が実行されようとしています。安倍晋三内閣総理大臣という人は、日本の将来を考えて、財政再建を果たす政策を果断に実行しているともいえますね。
ここで現政権を誉めそやしたいわけではありませんが、国民に負担を強いる政策は支持率低下や選挙での敗北につながるため、これまでの歴代政権でもなかなか手を付けようとしなかったという経緯があります。にもかかわらず果断にこれらの負担増となる政策を遂行しようとしています。果たしてその評価は?後世の世代からは高く評価されるでしょうか?
といっても国民の多くは自らの生活に一番関心があると思います。この連載でもたびたび触れていますが、税制の改正や社会保障制度の改正により年々、国民の負担は増しています。例えば、夫65歳以上、妻60歳以上の高齢夫婦無職世帯の2000年と2017年の毎月の家計を比べると、年金などの収入が減る中で税や社会保険料の負担が増し、毎月の赤字額は約1万円から約5万4500円に大きく膨らんでいます。つまりこの分は現役時代に積み立てた預貯金などを取り崩して賄われていると思われます。
また一昔前は預貯金を中心とした金融資産があれば、そこそこ安定した生活ができた時代もありました。銀行等の金利が高くて利子だけでそれなりの収入となっていたようです。1990年当時、預貯金や債券の利回りは年6~7%前後あり10年強預ければ元本が倍になりましたが、1999年には日銀のゼロ金利導入で預貯金金利もほぼゼロになってしまいました。これでは預貯金は単に取り崩して老後の生活を賄うものとしかなりませんね。
その他では、老後の年金の受給開始年齢が60歳から段階的に上がり65歳からの支給となってきています。これも給付の先送りですから、実質的には国民負担の増加といえるかもしれません。

以上の経過をみても、徐々にではありますが、国民負担による国への歳入は増えているとも言えます。しかしそれが目に見えて財政再建や様々な制度改革に結びついているという実感がもてないため、不満につながるのではないでしょうか?

〇将来的にも負担は増しそうですね
あまり明るくないお話が続いていますが、さらに負担が増しそうな話題が出ていますね。例えば、老後の年金の受給年齢を70歳まで(あるいはその上まで?)引き上げる、高齢世帯の病院での医療費の負担が増える、などがあります。
年金財政を考えれば、年金の受給年齢をさらに上げるという流れは当然出てくると思われますし、現在でも選択として70歳までの繰り下げ受給は可能です。
医療費の負担増については、いわゆる団塊の世代という人口の非常に多い世代が2025年におおよそ75歳の後期高齢者となるため、その医療費の負担が増大することが予想されています。後期高齢者になれば、各人の一定の医療費の負担は減じることになるのが現状なのですが(自己負担1割)、それでは医療費の財源がもたなくなることが考えられます。
もちろんこれまでも現役世代の保険料の引き上げをはじめ、様々な制度改正を試みてきてはいますが、結局、後期高齢者自身の医療費を引き上げないともたないのではないか、として医療費の負担を引きあげようとの議論が出てきています。

今後、これ以外にも国民負担を増やす施策は出てくるものと考えられます。我々としてはどのように生きていくか?を自分自身で考えていく時代が来ているものと思われます。

高濱さん20190307 図4 社会保障推移(参考)国立社会保障・人口問題研究所の資料より

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高濱 光暢

高濱 光暢

社会保険労務士・FP・相続アドバイザー いつも笑顔で! 高濱社会保険労務士・FP事務所 大阪市東淀川区菅原1-8-4 MAIL : sharousi-nobu@bird.ocn.ne.jp TEL .080-4492-6434 社会保険労務士業として公的年金関連の相談業務、またFP業として個人のライフプランや各種税金や制度に関するアドバイスを行います。特に相続税のことはご相談ください。
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