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コラム

考えておきたい!老後の生活..③

日本の社会保険制度は歴史があります!

こんにちは。社会保険労務士・FPの高濱光暢です。
いきなりですが、今年は我が「社会保険労務士」制度が制定されてから50周年となります。労働問題や年金相談など幅広く諸先輩方が活躍してこられて、国民の皆さまからの信頼が得られたおかげで今にいたることができるのですね。私も社会保険労務士の一人として今後とも皆さまに貢献できたらと思います。
高濱さん20181023 図1 社労士50周年

ところで日本の社会保険制度は“国民皆保険・皆年金”体制であると聞いたことがあるかもしれません。国民皆保険とは、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入できるように、社会保障制度が整備された状態、国民皆年金とは、すべての国民が何らかの年金制度に加入できるように、社会保障制度が整備された状態をいいます。

これらの体制は1961年に確立されました。つまりは57年前に出来ていますので、「社会保険労務士」制度よりも古いことになります。

社会保障制度は、その時代時代の状況に応じて改正されてきました。国民皆年金・皆保険の制度が確立された時期(昭和30年代)は、高度経済成長による生活水準の向上に伴い、生活困窮者や援護が必要な者に対する救済対策に加え、一般の人々が老齢や疾病などにより貧困状態に陥ることを防ぐ防貧政策の重要性が増していきました。民間サラリーマンや公務員には被用者年金制度があったが、自営業者や農林漁業従事者等を対象とした公的年金制度は存在せず、核家族化の進行、人口の都市集中、将来の高齢化社会への展望等を背景に、全国民を対象にした老後の所得保障を求める声が高まってきました。

また医療保険の方も戦前は被用者を対象とした健康保険と農民等や地域住民を対象とした国民健康保険がありましたが、戦後には被用者の健康保険のみでそこから漏れる零細企業の労働者とその家族や国民健康保険を実施していない市町村の住民は公的保険のない状況に置かれていました。そこで市町村に国民健康保険事業の運営を義務づけ、被用者保険加入者以外の者を強制加入させるようにしました。

これらの制度も国民の皆さまからの信頼があるからこそ、続いてきた制度ですが、時代の変化により問題が噴出し、公的年金制度、医療保険制度もその根幹が揺らいでくるようになりました。

<参考>『平成18、19年版厚生労働白書』より

100年安心の制度ではなかった?

急速な少子高齢化が予想される中で、将来の現役世代の負担が過重なものとならないようにするとともに、公的年金が、将来ともその役割を果たしていけるよう、社会経済と調和した持続可能な制度を構築し、国民の制度に対する信頼を確保していくため、平成16年に改正が行われました。

①保険料を一定引き上げ固定させる「保険料水準固定方式」の採用、②年金の受給額を物価水準や現役世代の手取り額の伸びだけではなく、被保険者数の減少率や平均余命の伸び等も勘案して抑制する「マクロ経済スライド」の導入、③安定した財源を確保するため基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げ、④約100年で財政均衡を図るため積立金を活用する方法の採用、により将来の保険料の際限ない上昇という不安を払拭しつつ、社会経済と調和した持続可能な制度の構築を図りました。これがいわゆる「100年安心の年金制度」ですが、国民の皆さまは安心していますでしょうか?

上記は制度の変遷を説明していますが、個々の年金受給者にとっては負担が増しています。年金は額面が昔と同じでも手取りは大きく減っています。公的年金と企業年金で年間計300万円の収入があるとした場合、1999年には手取りが290万円ほどでしたが、2017年には257万円ほどになりました。これは社会保険料の増加が20万円、税金の増加が13万円です。公的介護保険の導入に伴う介護保険料の天引き開始や国民年金保険料率の上昇など社会保険料負担の増加に加えて、老年者控除の廃止や公的年金等控除の縮小などによる税負担増がありました。

また現役世代でも社会保険料負担に税負担は増しています。

課題は山積み、みんなで知恵を出しましょう!

平成30年4月の調査では、生活保護の受給者は人口の1.7%でその半数は高齢者世帯でその9割以上が単身世帯となっているようです。また65歳以上の高齢者のいる世帯の貧困率がこの7年間で24.7%から27.0%に上昇し4軒に1軒以上が実質的に生活保護基準に満たない収入で生活しているようです。
高濱さん20181023 図1 グラフ生活保護これまで高齢者のセーフティ―ネットとしては公的年金制度の基礎年金による防貧機能を生活保護が補完していました。基礎年金額は、従来、国民年金が生活扶助基準に合わせてきたため、この給付水準が65歳以上単身無業者の衣食住の生活費が賄える額と一致していました。

しかし、前段のマクロ経済スライドの導入などで基礎年金額は今後、長期的に低下し最低生活費との乖離(かいり)が拡大する可能性があります。

このことを想定してのことでしょうか、平成29年8月から、10年の年金加入期間があれば老後の年金がもらえるようになりました。これは以前の受給資格期間25年が未達で無年金となる人がかなりおられたところ、無年金者を極力減らす趣旨で短縮が図られました。さらに消費税増税(8%から10%へ)に合わせて「年金生活者支援給付金」という新制度が導入されることになりました。

このままでは生活保護に頼る高齢者が増加することになるので、何とか公的年金制度の枠内で高齢者の生活を維持したいということのように思われます。

少子高齢化が進むわが国において、制度を支える現役世代の減少とサービスを受ける高齢世代の増加により財政的にさらに厳しい状況が生じつつあるようです。
日本では、年金の問題のほか、様々な課題が噴出しておりますが、今こそ多くの専門家などが知恵を結集しこれら課題に対処していく必要があるのではないでしょうか。

我々、社会保険労務士も以上のような課題に対処すべく、知恵を出してより一層、国民の皆さまに貢献できるようにしていきたいものですね。

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高濱 光暢

高濱 光暢

社会保険労務士・FP・相続アドバイザー いつも笑顔で! 高濱社会保険労務士・FP事務所 大阪市東淀川区菅原1-8-4 MAIL : sharousi-nobu@bird.ocn.ne.jp TEL .080-4492-6434 社会保険労務士業として公的年金関連の相談業務、またFP業として個人のライフプランや各種税金や制度に関するアドバイスを行います。特に相続税のことはご相談ください。
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