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コラム

介護、看取り・・・今も残る胸の痛み (2)

こんにちは、ライターの“ほき”です。

2回目の寄稿になりました。
前回は、転院した病院で3ヶ月が過ぎて、行き場のない母と私が途方に暮れてしまったところまでを書きました。

さて、それからの出来事を書こうとしていたのですが・・・
正直に言いますと、山盛りにあり過ぎて、書いてる途中で収集がつかなくなりました。
いろいろ思い出して、予想以上に感情的にもなってしまいました。
私の中で、まだ整理ができていないのでしょうね。
うまくお伝えできないかも知れませんが、少しお付き合い頂ければ嬉しいです。

母の一番の希望は家に帰りたいことで、その為に毎日リハビリを一生懸命に頑張っていたけど、なかなか思うようにできませんでした。母の行き先について、主治医の先生も私もあれこれ手を尽くしたけれど、それでもどうにもならなかったのです。

その頃、母が本当に悲しそうにつぶやいた言葉を、今でも忘れられません。
「私は、どこへ行っても厄介者なんやね。」
私には、母のむくんでパンパンになっている足を、さすり続けることしかできませんでした。

「行き場所がないのなら、私が仕事を辞めてずっと家にいることにしたら、母は帰宅可能ですか?」と先生にお聞きしたら、「それでも難しいでしょう。今のお母さんの状態で家に帰れとは、医者として言い難いです。」と言われました。

入院3ヶ月を過ぎた後、主治医が必要と認めた場合、更に最長3ヶ月間の入院延長ができる制度があります。但し、治療費以外の入院にかかる費用には、健康保険が適用されなくなるので、その分は実費となり、患者と病院が半分ずつ負担することになります。患者も費用が増えるけれど、病院も経費がかかることになるわけです。
取り合えず、母はその制度を利用することができました。

けれど、それも期限がありますし、病院もそうそう経費負担患者を置いておきたくはないでしょう。
ほっとしたのもつかの間で、再び退院の話になり、ケアマネージャーさん、病院の担当看護師さん、母と私、皆で在宅介護プランを作り始め、いよいよ退院の日程を決めた、まさにその時でした。

主治医の先生から「退院は待って下さい」との指示がありました。受け入れ先が見つかり、今調整をしていると言うのです。先生はずっと奔走して下さっていたんですね。
受け入れてくれる病院にとっても、母はあまり有難くない患者のはずです。双方の先生方がどれほど力を尽くして下さったか、その頃の私には、容易に想像がつきました。

今度は介護保険適用のC病院での入院生活が始まりました。
しかし、2ヶ月近くが過ぎた頃、母の心臓が急に悪化して、専門医のいない病院ではどうにもできないので、もともとの掛かりつけのA病院に緊急搬送し再入院となりました。

A病院で2ヶ月ほど治療をし、又B病院に転院・・・・「又同じことを繰り返すのか・・・今度はもうC病院は受け入れてくれないだろうし、今度こそどうなるだろう。」と、恐怖に近いものを感じて2ヶ月が過ぎようとした時、突然、あっと言う間に母は亡くなりました。

確かに末期の心不全でしたから、そんなに遠いことではないと思ってはいましたが、あまりに突然で、私はただただ呆然としてしまいました。

母のこの最晩年の闘病生活を通して、私がずっと思ってきたことは、何故母は行き場所を見つけられず、「私はどこへ行っても厄介者なんやね」と心を痛めなければならなかったのだろう、ということです。
年を取れば体の機能は衰えて介護が必要になるし、持病も悪化するでしょう。又新たに病気に罹りやすくもなります。まして命に関わるような事態であれば尚更、健康保険と介護保険が補い合える仕組みができないものでしょうか?

母の場合は医療の進歩に因って命が救われてきました。なのに、今度はその手放すことのできない治療薬に因って身の置き場所が無くなりかけ、命の安全を失いかけました。その不安にさらされ続けました。
もちろん病院や施設が悪いわけではありません。、定められた制度や法律の範囲でしか動くことができないのですから。

私が最も疑問に思い、問いたいことは、どうして健康保険制度と介護保険制度が必要な時に補い合う形を取れないのだろう、ということです。

人が自分でできることを努力せず、我慢できることを我慢しないで、何でも社会に頼ろうとするのは良くありません。けれど、自分ではどうしようも無いことは、支えてもらえる社会であってほしいと、心から思うのです。

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ほき

ほき

関西在住、アラ60の女子です。3年前に両親の介護を終えて、今は月の内半分程仕事をしながら、趣味の合唱や美術展鑑賞、友人とのお喋りランチを楽しんでいます。
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