すまいるポスト

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コラム

宇宙と仏教のスケール

by 京都坊主BAR店主・僧侶

大乗仏教の経典で、浄土真宗の依りどころとする経典の一つに、「仏説阿弥陀経」があります。この経典には、極楽浄土の世界の描写がされ、どのようにすれば、極楽浄土に生まれることができるかが書かれています。

お経の成立は、様々な経緯がありますが、この経典はインドの言葉が中国で漢文に訳され、日本ではその漢文を僧侶がお経として唱えています。その一部を漢文の書き下し文で抜き出してみましょう。

「そのとき釈尊は長老の舎利弗(しゃりほつ)に仰(おうせ)になった。

『ここから西の方へ十万億もの仏がたの国々を過ぎたところに、極楽と名づけられる世界がある。そこには阿弥陀仏と申し上げる仏がおられて、今現に教えを説いておいでになる。・・・・』

このような下りで、長々と極楽浄土の情景についての記述が続きます。

この中で極楽浄土が「西の方へ十万億もの仏がたの国々を過ぎたところ」とあります。浄土が西の彼方にあるというのは、この記述の由来によるのです。

いったい、「十万億の仏がたの国々を過ぎたところ」はどのあたりになるのでしょうか?お経の中の表現は、このように数字をあげて説明される部分がありますが、それが実際の距離などを示すものではなく、果てしなく遠いところの比喩である場合がほとんどです。

皆さんは、夜道を歩いている時に、空を見上げることはありますか?
新月の夜、晴れた日に空を見上げるとたくさんの星が輝いているのが見えます。

その星は、私たちの目には、一点一点の輝きにしか見えず、天空のドームに小さな無数の明かりが灯っているようにしか見えません。実際に昔の人は、宇宙に輝く星たちをそのような存在であると思っていました。

しかし、現代では、夜空に輝いている星たちは、太陽と同じように燃え盛る炎で包まれている星であるということがわかっています。しかも、その星たちの光は、私たちが想像を絶するような果てしなく遠いところから来ているのです。

その果てしなさはどれくらいか。

私たちが距離を表すのに使う単位はキロメートルです。例えば東京と京都の距離はだいたい500キロメートルです。ところが星の距離を表すには、キロメートルでは単位が小さ過ぎてわかりにくいのです。例えば、星空の中でひときわ明るい星で「シリウス」という名前のついた星があります。この星までの距離はキロメートルで表すと80兆kmです。いったいどのくらい遠いのかあまりピンとこないですね。マッハ0.8(時速約864km)で飛ぶボーイング767でシリウスにいくとしたら、だいたい1000万年くらいかかります。ちなみに、太陽までこの飛行機で飛ぶとだいたい19年から20年くらいかかります。

ですので、星たちの距離を表すためには、もっと大きな単位を使用します。その単位として都合が良いのが、光の速度です。光は一瞬で届くように見えますが、実際には秒速約30万kmで届くのです。1秒の間に地球を7周半します。宇宙の星たちの距離を表すために、光が何年かかって地球に到着するのかという単位で表します。それが「光年」という単位です。この単位を使って「シリウス」までの距離を表すと、約8.7光年ということになります。即ち、光が8.7年かかって届く距離に、シリウスはあるということになります。光が8.7年かかって到着しているということは、実は8.7年前の光を見ているということになります。

ということは、星の光を見るということは、過去を見ているということにもなるのです。

夜空に輝いている星たちを見るということは、私たちの過去の光を見ているということにもなるのです。

そんなことを考えながら星空を見るのは、とてもロマンチックに思えませんか?

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羽田 高秀 住職

羽田 高秀 住職

浄土真宗本願寺派 光恩寺 住職 京都坊主BAR 店主・バーテンダー 〒604-8237 京都市中京区油小路通錦小路上る山田町526 MAIL : t-hane@cakra-net.jp 日本メンタルヘルス協会、関西カウンセリング協会で心理学を学ぶ。 2010年11月 京都坊主BAR 開店
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