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コラム

『高齢社会!どう生きる?』③

10年年金の相談が増えてます!

こんにちは。社労士・FPの高濱光暢です。今回は最近の相談事例から...

最近、「10年年金」についての相談が増えています。内容はいろいろありますが、こんな例が多いです。

[相談内容]
40歳代後半から50歳代の自営業者や会社経営者(1人会社か、従業員がいても2~3人くらいの小さな会社の社長さん)で、

「これまで年金の保険料なんか払ったことはない。でも10年分払ったたら、将来年金貰えるようになるん?」「どうやったら10年分払えるん?」

といった内容です。若いころは自分が年をとったときのことなど考えていなかったり、事業に必死で年金の保険料など払えずそのままこの年まで来てしまった、といったところでしょうか?あるいは国の制度なんか当てにしてなかった、といった意見も聞かれました。しかし自分がもうすぐ還暦を向かえるなど高齢期が現実に近づいてくると不安に駆られることも出てくるのでしょう。

昨年(平成29年8月1日)から年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されることになりました。この制度改正を受けて、今まで年金を諦めていた人たちが関心をもち、自分も何とかなるのではないかと、相談に来られているのだと思われます。
※障害年金、遺族年金は10年年金には対応せず、対象外です。

この点、公的年金制度では死ぬまで一定額の収入が得られるわけですから、10年分の年金保険料に対する年金額(老齢基礎年金10年納付分:19万4,800円/年)といえども、老後に少しでもお金が入ってくると安心だと思います。

以上のような相談について
“そもそも国民皆保険制度をとっているわが国”において、今まで年金保険料を払っていないというのは、おかしなことなのですが??

ただ自営業等をしていて、若いころは払えずそのまま50,60歳を迎えてしまったという方は結構おられます。また国民年金保険料の納付率は6割くらいで未納者が多いと毎年問題とされています。

さて、回答としては、

[回答]
後納制度でまず過去5年分の年金保険料を払います。そのまま60歳まで通常の保険料を払い、60歳以降65歳まで国民年金に任意加入し、できる限りの保険料を納めるようにする。さらに通常の保険料に加えて付加年金の保険料を追加で支払い将来の年金額を増やします。そして可能であれば、自営業者に定年はないので、70歳まで働くことを前提に70歳まで年金の受給を繰り下げて年金の支給額を増やすこともできます。
※あくまで自営業者を前提としています。会社に勤めて社会保険に入ることもできますが、今回は深く考察はいたしません。具体的にあった相談を前提にしていますのであしからず。

受給資格期間が10年になったことにより、将来の年金受給の可能性が出てきたため、工夫は必要ですが、今からでも保険料を納めることに意味が出てきました。

【参照】年金額を増やす方法
[任意加入]
60歳以降も国民年金の保険料を納付する(65歳まで可能)
納付期間が40年に達するまで納めることができる。
[後納]
納付し忘れていた国民年金保険料を5年以内に納める。ただし平成30年9月30日までとなっている。
[追納]
免除・猶予されていた国民年金保険料を10年以内に納付する。ただし免除
や猶予の申請をしていないとできないので、納め忘れていたなどでは使えない。
[繰り下げ]
年金の受け取り開始を66歳以降に、1か月単位で遅らせる。最大70歳まで可能。繰り下げ受給をすると繰り下げた1か月ごとに0.7%年金額を増やせ最大5年の繰り下げで42%の増額となる。
[付加年金]
国民年金第1号被保険者ならびに任意加入被保険者は、定額保険料(平成29年度:16,490円)に付加保険料(400円)を上乗せして納めることで、受給する年金額を増やせる。
付加年金額は、「200円×付加保険料納付月数」です。
例えば10年間納めれば、200円×120か月=24,000円の上乗せとなる。

老後の生活資金について、考えていますか?

 ☆受給資格期間短縮で新たに46.9万人に年金支給☆
厚生労働省は1月18日、全国厚生労働関係部局長会議で年金受給資格期間の10年短縮に関する昨年8月施行以降の動きを説明した。受給資格期間が10年以上25年未満で、昨年10~12月に新たに年金が支給されたのは約46.9万人。平均支給額は月額2万8,012円で、最高額13万7,374円だった。保険料納付済等期間10年以上25年未満の人のうち、昨年11月末までに約2割が請求手続きをしておらず、同省はお知らせを送付して手続きを呼びかける方針。また、同期間が10年未満の人にたいしても合算対象期間等の確認を促す「年金加入期間確認のお知らせ」を今年6月にかけて送付していく考えを示した。

この制度変更に伴い、新たに年金を受け取れるようになる人は、昨年の制度変更前の時点ですでに既定年齢(原則65歳)に達している人だけでも約64万人と言われていました。
昨年の夏から秋にかけて、この10年年金の相談者が多数にのぼったようで、各地の年金事務所でも特別ブースを設けるなどして対応していたようです。

では、実際の年金額はどれくらいになるか?老齢基礎年金の額を見てみましょう。
老齢基礎年金を満額受給するためには、20歳~60歳の40年間(480か月)保険料を納めている必要があります。
その場合の年金額は2017年度の場合、77万9,300円です。10年納付、20年納付でみると年金額は以下のようになります。

◆10年(120か月)納付済の方
77万9,300円×120カ月/480か月=19万4,800円(月額約1万6,200円)

◆20年(240か月)納付済の方
77万9,300円×240か月/480か月=38万9,600円(月額約3万2,400円)

※今回は考察していませんが、65歳以上の方であれば1か月、65歳未満であれば1年以上、厚生年金や共済年金などの被保険者期間があれば、さらに老齢厚生年金が上乗せされます。年金額は厚生年金被保険者期間の標準報酬額(月々の報酬と賞与の合計)の平均と加入月数によって異なります。

10年保険料を納めたからといって、たくさん年金がもらえるわけではありません。もちろん無年金よりは少しでも収入がある方がいいのですが、生活を賄えるほどの金額ではないように思います。なお現役世代の方でも現在の状況で将来どれくらいの年金がもらえるかは、年金事務所で試算してもらえるので、心配な方は一度利用してみてはいかがでしょう。

結局、自助努力がもとめられる?
10年年金への改正で、多少の公的年金の収入が確保されるようになったことは、良いことと思われますが、今後の年金財政収支は非常に厳しくなってくると思われます。若い世代になるほど、受給額が減るのではないか?また現実的には支給開始年齢が現在の65歳からさらに引きあげられるのではないか?

老後の生活につき、暗鬱な気持ちにもなりますね。今からでも自助努力をしていく必要があるのではないでしょうか?

このような情勢を踏まえてでしょうか、最近、NISA、iDeCoという言葉を聞きませんか?これだけでは何のことか、よくわかりませんが、各金融機関でもたいそう宣伝されています。

株式や投資信託への投資を活性化するため、また国民の資産形成の自助努力を後押しするため、特に国が大きな非課税枠を設けて大々的に広げようとしています。

現在の高齢世帯の収入見ると(家計調査年報2016年より)、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)では212,835円、高齢単身者無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)では120,093円となっています。この金額が生活をしていくうえで、多いか少ないかは意見のわかれるところと思います。ただ今後年金財政も厳しくなっていき、この金額の収入も得られないのではないかと思われます。そこで「自分で資産形成を!」ということで、NISA、iDeCoなどの制度が喧伝されているわけです。
国としても公的年金制度だけでは、国民の老後の生活を保障できないと考えているのでしょうか?このような制度の後押しをして、国民が“自助努力”により資産形成をしてほしいということかもしれません。若い世代でも将来の年金不安が広がっているようで、税制優遇の後押しもあり、若い世代には支持を得ているようです。

日本は高齢化先進国であり、公的年金のみで豊かな老後生活を送ることは期待できる状況ではないようです。引退後に「それなり」の生活をおくるためには、企業・個人も含めた努力を行うことが必要であり、厳しい現実を踏まえた具体的な目標設定が喫緊の課題であると思います。

(注)NISA、iDeCoは資産形成の方法の一つであり、これらの制度をおすすめしているわけではありませんのであしからず。

 〇NISAとは?
小額からの投資を行う方のための非課税制度です。
例えば、投資信託に投資した場合、「普通分配金」と売却時の「譲渡益」が非課税になります。ただし、他の口座(一般口座や特定口座)で発生した譲渡益や配当金等との損益通算はできません。
利用できるのは、日本に住む20歳以上の方で1人1口座です。新規投資額で毎年120万円が上限(非課税投資枠は最大600万円)で最長5年間(投資可能期間:2014年~2023年)です。株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益が非課税対象となります。
 〇iDeCoとは?
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、確定拠出型年金法に基づいて実施されている。私的年金の制度です。この制度への加入は任意で、ご自身で申し込み、ご自身で掛け金を拠出し、自らが運用方法を選び、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受けることができます。また、掛け金、運用益、そして給付を受け取る時には、税制上の優遇措置が講じられています。国民年金や厚生年金と組み合わせることで、より豊かな老後生活を送るための資産形成方法の一つとして活用できる。
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高濱 光暢

高濱 光暢

社会保険労務士・FP・相続アドバイザー いつも笑顔で! 高濱社会保険労務士・FP事務所 大阪市東淀川区菅原1-8-4 MAIL : sharousi-nobu@bird.ocn.ne.jp TEL .080-4492-6434 社会保険労務士業として公的年金関連の相談業務、またFP業として個人のライフプランや各種税金や制度に関するアドバイスを行います。特に相続税のことはご相談ください。
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