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コラム

公的年金制度は大丈夫か?

1.少し騒がせています

こんにちは、社会保険労務士・FPの高濱光暢です。
最近のニュースより、

「遺族年金 受給資格喪失者1,000人に18億円過払い」

会計検査院は、日本年金機構が、遺族年金の受給資格を失った1,000人に対し総額約18億円を支払っていたとする調査結果を発表した。うち約8億円は、5年の消滅時効が成立し、返還を請求できる期限が過ぎていた。検査員は、時効が成立していない分の返還手続を取らせ受給資格の確認を徹底するよう厚生労働省に求める方針。

これまでも年金の不正受給はたびたび事件となっており、例えば、すでに死亡した両親の老齢年金を死亡の届出をせずその子が受給していた、といった当事者のモラルとして、取り上げられることが多いですが、今回は会計検査院の発表によるため、日本年機構(と厚生労働省)に批判が向けられているようです。

また少し前には(平成29年9月)振替加算の支給漏れ(※1)もありました。合計10万5,963人、総額599億円で、主な要因は年金機構と共済組合との間の情報連携不足やシステム処理に起因するもので、夫婦の一方が共済年金を受給しているケースが96%を占めているといいます。こちらは自らの調査により発覚したとはいえ、日本年金機構への批判がさらに強まる可能性もあります。このような事件が起こるたび、公的年金制度そのものへの不信感が芽生え、「公的年金制度は大丈夫か?」といった疑問が投げかけられるのではないでしょうか。

                                          
                                                   ※1『振替加算の総点検とその対応について』
[第32回社会保障審議会年金事業管理部会平成29年9月13日 資料8]

  1. 振替加算とは

振替加算は、平成3年から実施されている制度で、配偶者(夫)の老齢厚生年金(老齢満了=厚生年金の被保険者期間が240月以上などが要件)又は障害厚生年金(1級又は2級)に、受給権者(妻)に係る加給年金額が加算されている場合に、妻が65歳に達したときに、夫の加給年金を妻に支給する老齢基礎年金に振り替えて加算する制度

1.振替加算の支給漏れ

・振替加算については、正しく加算がなされていない事案が従来から散見されてきた。これまで、個別事案を把握したときにその都度対応してきたが、長年このような事案が一定数生じており、近年増加している

(毎月、日本年金機構より事案を公表。平成22年度2件→平成25年度34件→平成28年度832件)

・被用者年金一元化に伴い機構が共済情報連携システムを利用できるようになった(27年10月~)こともあり、今般、配偶者の加給年金が終了している一方で振替加算が開始されていない夫婦の事例を総点検し、支給漏れ又はその可能性のあるケースを抽出し、発生要因の分析を行うとともに、対応策を講じることとした。

~以下
                                          

2.将来の年金は大幅減!

先日、相談に見えられた方が、ある雑誌記事をお持ちになって、「年金もらえる額が6割も減るの?」と不安そうに訴えてきました。どういうことでしょうか?

これは「マクロ経済スライド」という年金給付額を調整する制度があるため、現行のままで「マクロ経済スライド」を実施すると約30年後に約3割(国民年金について約3割)目減りするとの見通しということです。『経済情勢が今より悪化した場合…』『将来の出生率が改善せず、低位に推移した場合…』など、情勢がかなり悪くなれば、公的年金が3割から6割減になる見通しだそうです。しかしあくまで見通しですから、将来の状況は変わってくるかもしれませんし、国としてもそうならないための施策などは立てていくのではないかと思います(5年ごとに財政検証を行っています)。各経済誌や各種報道でもたびたび、公的年金につき不安をあおるような情報が流されるため、多くの方が心配されるのも無理がありません。ですから、この方のご心配もわからないでもないです。

公的年金は、現役世代が納める保険料が、そのときの年金給付の主な財源になるという賦課方式によるため、現役世代(支え手)がいて日本経済が続いていく限り、なくなることはないと思います。ですが、皆さまも危惧されるように財政的には厳しいものとなっています。ですから、将来の年金給付が抑制される方向に行く可能性は高いと思います(※2)。

※2 『平成29年版厚生労働白書』によると
65歳以上の老齢人口と15~64歳の生産年齢人口の比率、すなわち高齢者1人を支える現役世代の人数を見てみると、1980(昭和55)年には1人の高齢者に対して7.4人の現役世代がいたのに対し、2015(平成27)年には高齢者1人に対して現役世代2.3人になっており、今後この数字は減少していくことが予想される。

団塊の世代が75歳以上になる25年には1.9人まで落ち込むことが予想され、そうなると年金給付が抑制されること可能性は高まります(保険料は毎年引き上げされていましたが平成29年度を最後に固定されることになっています「保険料水準固定方式」)。

一方で、非就業者(子どもを含む。)と就業者の比率によってみる見方もあり、女性や高齢者などの労働参加を進めれば、支える立場の就業者と支えられる立場の非就業者の割合も変化する可能性があり、留意する必要があります。

3.それでも必要ではないでしょうか?

最近は、高齢者向けの投資セミナーやライフプランに関するセミナーが盛況だそうです。老後の生活について、どう考えますか?

例えば、老後に備えて貯金していてもそれを使い切ってしまうかもしれませんし、そもそも「何歳まで生きて、そのためには○○万円が必要」といった試算ができるものでしょうか?老齢年金は、その人が亡くなるまで一生涯もらえるものですから、長生きして生活資金がなくなるという心配はありません。高齢化が進む現在にあっていつまで生きるかわからない中、こういった保障があると安心ではないでしょうか。決まった収入がないというのは、とても不安なことだと思います。

また若い人からしたら、老後は何十年と先です。そんな先の経済情勢は予想がつかないものです。もしかしたら物価の大幅な変動があったり賃金水準の上昇など、経済情勢が全く違うものになっているかもしれません。その場合でも日本の公的年金制度では、その時々の経済状況に応じた実質的な価値を保障することになっています(賦課方式によっている※3)。

さらに①突然の事故や病気により障害を負ってしまい働けなくなった場合、②一家の大黒柱が亡くなってその配偶者や子供が残されてしまった場合には、障害年金(①の場合)、遺族年金(②の場合)がもらえその後の生活をしていくうえでの支えとなります。

公的年金制度は、人生における、予想することのできない、特に大きなリスクに備えるものといえると思います。やはり大事な制度でありますから、今後ともみんなで支えていきたいものです。

※3 『賦課方式』と『積立方式』

簡単に説明します。『賦課方式』とは現在の現役世代の保険料で現在の高齢者の年金給付を賄う仕組みです。一方『積立方式』とは自分が現役時代に支払った保険料を積み立てておいて自分が老後になったときにそれを原資に年金給付を受け取る仕組みです。

よって『賦課方式』だと現在の経済状況で支払われる保険料で年金給付が賄われることになるため、物価の変動等を考慮した実質価値が保障されることになります。ただ少子高齢化により現役世代が減り高齢世代が増えると、支えきれなくなる恐れがでてきます。これが今問題となっている【世代間格差】、つまり「今の高齢者は年金を多くもらえて私たち若い世代は将来年金をもらえない」「それなら自分で積み立てた分をもらいたい」などにつながってきます。

このような問題の解消のため、日本の現行の仕組みでは、『賦課方式』を基本に一定の[年金積立金]を保有して運用に回すことで少子高齢化の影響を軽減するようにしています。

参考:厚生労働省HP「一緒に検証!公的年金」

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高濱 光暢

高濱 光暢

社会保険労務士・FP・相続アドバイザー いつも笑顔で! 高濱社会保険労務士・FP事務所 大阪市東淀川区菅原1-8-4 MAIL : sharousi-nobu@bird.ocn.ne.jp TEL .080-4492-6434 社会保険労務士業として公的年金関連の相談業務、またFP業として個人のライフプランや各種税金や制度に関するアドバイスを行います。特に相続税のことはご相談ください。
高濱 光暢

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